89式装甲戦闘車の放った79式対舟艇対戦車誘導弾は束の間飛翔した後、目標に命中。
「命中、撃ち方やめ!」


続いて右の台から87式対戦車誘導弾の発射。目標は6の台左の赤い標的です。
「87式対戦車誘導弾、6の台左、戦車。撃て!」


これも見事に命中。
「命中、撃ち方やめ!」


中距離火力の最後に、96式多目的誘導弾の発射。左の台から二段山右下の目標を狙います。
「96式多目的誘導弾、二段山下、戦車。撃て!……命中、撃ち方やめ!」


続いて、近距離火力として主に近接戦闘で使用される装備等の紹介です。まずは指向性散弾。指向性散弾は直径1cmほどの大きさの多数の弾が扇状に飛び散り、接近する歩兵部隊を一瞬のうちに制圧するもので、あらかじめ我が陣地の前に設置し、離れた場所から爆発させます。敵歩兵に見立てた赤と白の風船を、青の台左側、黄色の台右側の順で破裂させていきます。


「指向性散弾、点火ようーい、1番点火!」
「2番点火!」

バン!という音と共に青の台、黄色の台の風船が破裂しました。
「成功!」


続いて、主に普通科部隊等が装備する各種火器の射撃の紹介。はじめはヘリコプターによって機動する普通科分隊が森林等のヘリコプターが着陸できない場所等にロープを使って降着し、施設や橋梁などを爆破した後、ヘリコプターによってすみやかに離脱する要領です。会場左手から、普通科分隊を乗せたCH-47JAが進入してきました。


CH-47JAから、普通科隊員がファストロープを使って次々と降下。


「分隊は、白の台の橋梁をTNTにより爆破する。」
降下した隊員は、ただちに橋梁を爆破する準備にかかりました。起爆回路の設置については、左右のスクリーンにその様子が映し出されました。


「起爆回路構成完了、点火準備よし!」
「了解、点火ようーい、点火!」
「爆破10秒前、5.4.3.2.1、いま!」

大きな爆音と共に橋梁が爆破されました。
「橋梁爆破成功、分隊はこれよりすみやかに離脱する」


CH-47JAが再び進入し、エクストラクション・ロープを使って隊員を吊り下げたまま、地上を警戒しながら離脱します。地上では隊員がCH-47JAから投下されたロープと身体を結んでいます。


隊員を吊り下げ、CH-47JAが現場を離脱。


隊員は吊り下げられたまま、周囲を警戒しています。


続いて対人狙撃銃の紹介。観客席前には対人狙撃銃を携え、携帯偽装網に身を包んだ隊員が登場。対人狙撃銃は遠距離の人員に対して精密な射撃を行なう事ができ、狙撃手には射撃レベルの高い隊員が選ばれます。通常の小銃射撃は200〜300mで行ないますが、今回の狙撃は500mで行ないます。


本来なら隠れた場所から射撃しますが、今回は展示のため会場広場右側の稜線から射撃します。目標は黄色の台の、車輌に乗車している人員を象った標的です。はじめに左、続いて右側の標的を射撃します。
「敵発見。射撃班、前方車輌で逃亡中の敵500、指命!…撃て!」
パシュッという音がして標的に命中。
「命中!続いて2両目、指命!…撃て!」

これも見事命中。
「命中!すみやかに離脱する!」


続いて普通科教導連隊/第2中隊の軽装甲機動車2両が右手から進入。軽装甲機動車は機動性に優れた小型の装甲車で、車上から01式軽対戦車誘導弾の射撃を行ないます。01式軽対戦車誘導弾は撃ち放し式でミサイルが自動的に目標を追尾して命中するため、発射後ただちにその場から移動する事が可能です。射撃には概ね水平に飛翔する低伸弾道モードと、目標を上空から追尾するダイブモードがあります。


はじめに赤の台と黒の台の中間にある黒い標的を目標に、近距離目標に対する低伸弾道モードによる射撃を行ないます。
「01式軽対戦車誘導弾、黒の台左、戦車、400。低伸弾道、指命。」
「準備よし」
「撃て!」


低伸弾道モードで発射された誘導弾は見事目標に命中。
「命中、撃ち方やめ」


続いて2両目が、3の台と4の台の中間にある黒い標的を目標に、遠距離目標に対するダイブモードで射撃。
「01式軽対戦車誘導弾、3の台右、戦車、1000。ダイブ、指命。」
「準備よし」
「撃て!」


遠い目標にも見事命中。
「命中、撃ち方やめ」

演習開始から次第に曇ってきていた空模様でしたが、この頃から雨がポツポツと降ってきました…。雨具が要るほどではなかったのが救いでしたが。


続いて普通科教導連隊/第4中隊の96式装輪装甲車7両が進入。96式装輪装甲車は機動性、装甲防御力に優れ、射手、操縦手を含む10名の隊員が乗車でき、12.7mm重機関銃、または40mm自動てき弾銃を搭載できます。先行した3両はこの後行なう84mm無反動砲などの射撃準備のため、右手の射撃陣地に前進。


広場中央に進入した4両が、赤の台を目標に12.7mm重機関銃の射撃を実施。
「重機関銃、前方赤の台、散兵500、指命、撃て!」
車上の重機関銃から放たれた銃弾が赤の台に吸い込まれていきました。
「撃ち方、やめ」


続いて装甲車からの下車戦闘に移行。
「小隊、前へ! 下車戦闘用意」
96式装輪装甲車の後部ドアが開き、隊員が降りてきました。96式装輪装甲車は油圧装置で開閉できる大きな後部ドアを採用しているため、迅速な下車戦闘が可能です。


下車した小銃小隊による小銃および機関銃の射撃。目標は赤の台手前です。
「小隊、前方散兵100、指命、撃て!」
号令と同時に小銃、機関銃の連射音が響きました。曳光弾が飛んでいるのがわかるでしょうか。


小銃弾の命中した人型の目標が炎上しています。
「撃ち方、やめ!」


続いて、06式小銃てき弾の射撃。観覧席前では隊員が携えた89式小銃に装着した06式小銃てき弾の紹介がありました。小銃てき弾は近距離戦闘において、主に敵歩兵を制圧するために使用します。


赤の台手前の黄色い風船を目標に、06式小銃てき弾の射撃が行なわれます。
「06式小銃てき弾、前方散兵200、指命…撃て!」


発射されたてき弾は、約10秒後に着弾した後破裂。


続いて84mm無反動砲、110mm個人携帯対戦車弾の射撃。84mm無反動砲は主に対戦車火器として使用しますが、目的に応じて対戦車用、対人用、発煙用、夜間照明用の4種類の弾薬を使用する事ができます。


110mm個人携帯対戦車弾は携行しやすく操作性に優れており、主に近距離における戦車等、またコンクリート製の構築物に対して使用します。


まずは84mm無反動砲が黒の台を目標に対人榴弾を射撃。
「84mm無反動砲、榴弾曳下、黒の台散兵、指命、撃て!」
黒の台上空で二つの火球が爆発。
「効果あり、撃ち方まて!」


続いて110mm個人携帯対戦車弾の射撃。
「携帯対戦車弾、黒の台戦車300、指命、撃て!…命中!撃ち方やめ」
目標に命中して跳ね上がった破片?が爆発の衝撃を物語っていますね。

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