地上偵察により、三柳台一帯の敵状は装甲人員輸送車1輛、前面に鉄条網と地雷原を伴う陣地である事が判明。報告を終えた情報小隊と偵察隊はすみやかに撤収しました。

「連隊長、こちら高射特科。陣地進入開始」「連隊長、了解」攻撃部隊の行動を敵の航空機から援護するため、第13高射特科中隊の対空火器が進入を開始。手前に進入した93式近距離地対空誘導弾は横転しそうな勢いでターンし、観客席から驚きの声が上がっていました。

奥側では、同じく第13高射特科中隊の81式短距離地対空誘導弾が進入。

「連隊長、こちら特科。陣地進入開始」「連隊長、了解」第13特科隊/第1中隊の155mm榴弾砲、FH-70が進入。射撃陣地に到着した榴弾砲は射撃準備を実施します。FH-70は陸上自衛隊を代表する火砲であり、発射速度は毎分6発、射程距離は通常弾で約24kmあります。

「中隊長、こちら狙撃班。射撃陣地へ潜入開始する。」「中隊長、了解」対人狙撃銃を携行し、シルエットが目立たない恰好をした狙撃班の隊員が、攻撃に先立ち射撃陣地に潜入しました。

ここで、観覧席の前で対人狙撃銃の紹介。対人狙撃銃は昨年、新たに第8普通科連隊に装備され、敵の人員に対し遠距離から正確な射撃を行ないます。

もうひとり、隠密行動セット、通称ギリースーツを着用した隊員が登場。手にしているのは狙撃班のスポッターが使用する単眼鏡です。自衛隊にもこういったギリースーツが装備されるようになったのですね。

「連隊長、こちら重迫撃砲小隊。陣地進入開始」「連隊長了解」「中隊長、こちら迫撃砲小隊、陣地進入開始」「中隊長了解」第一線部隊を火力支援するため、120mm迫撃砲および81mm迫撃砲が進入してきました。

日本での迫撃砲は1904年の日露戦争時代に従軍した花火職人が、爆薬を敵の塹壕に投擲するため、打上花火の筒を応用したのが始まりとされています。120mm迫撃砲は連隊の主要な火力で、射程は約8km、81mm迫撃砲は普通科中隊の主要な火力で、射程は約5kmです。

「こちら高射、射撃準備完了!」我が部隊の行動を妨害するため進入する敵航空機に対し、93式近距離地対空誘導弾が目標を補足します。

こちら高射部隊、敵機撃墜」発射された93式近距離地対空誘導弾は、赤外線画像誘導により敵機を撃墜します。荷台に搭載された発射機の中央部が射撃統制装置で、左右に4発ずつ、計8発の誘導弾を搭載できます。

攻撃部隊の行動を容易にするため、155mm榴弾砲、および迫撃砲が攻撃準備射撃を開始。「こちら前進観測班、射撃要求、三柳台、敵の路線陣地」「こちら特科射撃指揮所了解。射撃命令、榴弾瞬発、方位角4600、射角0600、攻撃準備射撃指命」攻撃準備射撃を下命された榴弾砲が射撃準備。「こちら射撃指揮所、特科、発射10秒前・・・5秒前」カウント0で榴弾砲2門が射撃!

「連隊長、こちら特科部隊。攻撃準備射撃開始」「連隊長、了解」敵の陣地付近に砲弾が弾着し、敵の動きを制圧。擬爆筒が弾着を現示しています。

「こちら中隊長、施設部隊は障害処理を開始せよ」「こちら施設、了解」攻撃準備射撃間に、施設部隊による地雷原および鉄条網の障害処理が開始されました。「小銃小隊、こちら中隊長。小銃小隊は施設の障害処理を支援せよ」「こちら小銃小隊、了解」

施設部隊の障害処理を支援するため、小銃小隊の軽装甲機動車が前進し、車上から5.56mm機関銃MINIMIで射撃。

特科の攻撃支援射撃と小銃小隊の支援を受け、第304施設隊の92式地雷原処理車が障害処理を実施。

92式地雷原処理車から発射された導爆索付きのロケット弾によって、地雷原と鉄条網が処理されました。「中隊長、こちら施設。障害処理完了」「中隊長了解」

「こちら射撃指揮所、特科、発射10秒前・・・5秒前」カウント0で再び榴弾砲2門が射撃。「中隊長、こちら特科部隊。突撃支援射撃開始!」「中隊長了解」

特科部隊による突撃支援射撃が開始され、中隊長は各部隊に突撃命令を下します。「こちら中隊長。中隊は戦車先導、乗車突撃により1208、突撃発起する!各部隊は突撃発起の体勢をとれ!」「こちら戦車了解、突撃発起し陣地に進入する!」「こちら対戦車小隊了解、射撃陣地を占領する」「こちら小銃小隊了解」

戦車および対戦車分隊が進入し、小型トラックから3名の対戦車分隊が降車、87式対戦車誘導弾の射撃準備を実施。87式対戦車誘導弾はセミアクティブレーザー誘導により、敵の戦車等を撃破します。

観覧席前では新装備の01式軽対戦車誘導弾が紹介されました。01式軽対戦車誘導弾は84mm無反動砲の後継として小銃小隊に装備されています。赤外線画像誘導方式により1名で射撃ができる他、軽装甲機動車の上部ハッチからの射撃ができます。

三柳台では我が部隊の突撃を予期して、集結しようとする敵の装甲人員輸送車が現出。これに対し、74式戦車が105mm戦車砲で射撃!

敵部隊も対抗して重機関銃で射撃してきました。まもなく特科部隊の突撃支援射撃が終了し、突撃が開始されます。「特科、最終弾弾着10秒前・・5秒前、4.3.だんちゃーく、今!」

74式戦車が再度射撃し、突撃が開始されました。「中隊、突撃にー、前へ!」戦車が先導し処理された障害地帯を前進。

戦車に続く軽装甲機動車上から、01式軽対戦車誘導弾を射撃して、敵の装甲人員輸送車を撃破。

「中隊長、こちら小銃小隊。三柳台奪取!これより掃討を実施する」「中隊長了解」車輌突撃した部隊がただちに下車し、展開しました。

小銃を射撃しながら掃討前進する小銃小隊。

陣地内は掃討完了、敵の残存兵力は後方へ退却したようです。

「連隊長、こちら小銃小隊。敵は退却した模様」「連隊長了解。ヘリボン発動!」

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