式典は国旗に敬礼、巡閲、執行官式辞、来賓祝辞、来賓紹介、感謝状贈呈者紹介、祝電披露、と通常の記念行事の流れに沿って進行。観閲行進はなく、音楽隊による演奏の後訓練展示が行なわれました。訓練展示は装備品の紹介、戦車・大型トラックのセミトレーラへの積載作業、災害派遣における被災者救出の3ステージで構成され、後方支援隊の技量を如何無く発揮した内容となっていました。 第1ステージの装備品紹介の折、78式戦車回収車と74式戦車が登場した辺りで再び雨に見舞われましたが、降りしきる雨の中、泥を跳ね上げながら失踪する装軌車輌は大迫力でした。また第2ステージは74式戦車のセミトレーラへの積載シーンや、重レッカ2輛を使った大型トラックの吊り上げなど初めて見る展示で、大変興味深く見学しました。

訓練展示の準備が整うまで、副隊長・村田一等陸尉の指揮する中部方面音楽隊39名が演奏を行ないました。珍しくも雨衣(レインコート)を着用しています。

演奏曲目は「オブラビ・オブラダ」「ジュピター」および行進曲「Bravura」の3曲でした。聴き応え充分でしたが、自衛隊ファンとしての我侭を言わせてもらえるなら、「陸軍分裂行進曲」とか「凱旋」とか、ぜひ演奏してほしかったところです。

訓練展示開始。第1ステージは装備品紹介です。最初に第36普通科連隊/本部管理中隊(伊丹)の軽装甲機動車が進入してきました。

軽装甲機動車は機関銃および軽対戦車誘導弾を装着し、車上からの射撃が可能であり、機動力と防護力に優れています。イラク復興支援活動でも活躍しました。

続いて地対空誘導弾の紹介。陸上自衛隊の装備する地対空誘導弾5種類〈スティンガー、93式近SAM(92式携SAM)、81式短SAM、03式中SAM、ホーク〉のうち2種類が紹介されました。まずは第3師団/第3高射特科大隊(姫路)の93式近距離地対空誘導弾。

車体後部の荷台に発射装置を搭載。発射装置は全周旋回式で、進入する低空域目標を撃墜する事ができます。

次に第8高射特科群/第309高射中隊(青野原)の地対空誘導弾/改良ホーク。

進入する低高度目標を撃墜する誘導弾です。

続いて第3師団/第3施設大隊(大久保)の81式自走架柱橋の紹介。

81式自走架柱橋は第一線部隊に随行し、遭遇する河川等に橋を迅速に設置し、戦車等を通過させるために使用します。

続いて第4施設団/第102施設器材隊/架橋中隊(大久保)の92式浮橋の紹介。

92式浮橋は流水河川に設置し、車輌等を迅速に通過させるために使用します。先日大阪府で実施された防災訓練にも参加しました。

続いて自走して進入してきた第3師団/第3特科隊/第2中隊(姫路)の155mm榴弾砲、FH-70の紹介。ドイツ・イギリス・イタリアで共同開発され、制式装備された代表的な火砲です。通常は車輌で牽引しますが、写真のように補助動力装置を使い自走も可能です。

展開し射撃姿勢をとるFH-70。射程距離は約30kmで、ここ桂駐屯地から大阪空港まで射撃可能です。

続いて中部方面後方支援隊/第103不発弾処理隊の不発弾回収車の紹介。不発弾回収車は、安全化された不発弾の回収・運搬に使用します。荷台にはアメリカ製1トン爆弾の模擬爆弾を積載しています。

TV、新聞等でも報道されましたが、今年7月、大阪市北区のマンション建設現場で発見されたアメリカ製1トン爆弾の回収に出動し、地域の安全化に大きく貢献しました。左右のパネルはその時の様子です。
と、ここで再び雨が降り始めました。(´Д`;;
ヒィー

続いて第14旅団/第14後方支援隊/第2整備中隊/戦車直接支援小隊(日本原)の78式戦車回収車の紹介。78式戦車回収車は74式戦車の車体部に回収装置をとりつけ、戦車等の回収・整備に使用します。

最後に、第14旅団/第14戦車中隊(日本原)の74式戦車の紹介。74式戦車は105mm戦車砲を搭載し、姿勢制御により、どのような地形においても迅速・正確に射撃ができます。

泥を跳ね上げながら走狗する74式戦車。降りしきる雨が逆にいい演出になっています。以上で訓練展示第1ステージは終了。

続いて第2ステージ、74式戦車のセミトレーラへの積載および車輌回収の訓練展示。回収部隊を先導する1/2tトラックが進入してきました。地面がぬかるんでいるため、激しくドリフトしていました。

中部方面後方支援隊/中部方面輸送隊/第305輸送隊の特大型セミトレーラが進入してきました。特大型セミトレーラは全長17m、最大積載量40トンで、74式戦車等の重量車輌の運搬に使用します。
「こちら小隊長、これより74式戦車の積載を実施する。積載準備!」

輸送隊の隊員が積載準備を開始。トレーラの後ろに戦車が登るためのローディングランプを取り付けます。ローディングランプは1本が80kgあり、これを6本使用します。

セミトレーラの周囲を警戒する隊員。

その時、敵ゲリラからの攻撃が!これに対し、警戒隊が12.7mm重機関銃でただちに応戦。

3 1/2tトラックが被弾し、損傷。

「こちら小隊長、戦車、火力支援を頼む!」「こちら戦車、了解。ただちに敵を制圧する。」74式戦車が砲塔を旋回し、敵に照準を定めます。


「砲手 対榴、撃て!」74式戦車が105mm戦車砲で射撃!「警戒隊、領地確保 前進」「こちら警戒隊、領地確保する!」警戒隊が領地確保のため前進し、敵ゲリラを制圧。地域の安全化をはかりました。「小隊長、こちら警戒隊、領地確保!」「了解」

その後、74式戦車はセミトレーラに積載されるためローディングランプを登りました。

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