砕氷艦「しらせ」


〈砕氷艦「しらせ」AGB-5002  050930.高松〉

諸元・性能
全長 134m
全幅 28m
深さ 14.5m
吃水 9.2m
船型 船首楼型
基準排水量 11,600t
満載排水量 約19,000t
エンジン ディーゼル・エレクトリック(三井12V42M型ディーゼル6基、推進電動機6基)3軸
出力30,000PS、速力19kt
乗員 170人 観測隊員60人
備考 初代の海上保安庁巡視船「宗谷」、2代目の海上自衛隊砕氷艦「ふじ」に続き、南極観測輸送の協力用に文部省(現文部科学省)の予算で建造した砕氷艦。「ふじ」を大型化したような外形であるが、性能は一段と向上し、世界一流の砕氷艦となった。砕氷艦と言うより「南極観測船」という呼称の方がピンとくる人も多いと思うが、これはあくまで俗称で、本務は観測資材の輸送であり、観測業務は副次的なものである。砕氷能力は氷厚1.5mの平坦氷の海域を3ノットで連続砕氷航行が可能であり、砕氷補助能力としてトリミングおよびヒーリング能力を持つ。また、運動性能、載貨能力(糧食約50t、燃料約350t、その他の物資約600t)、荷役関連装備(大型ヘリコプター2機による空輸、コンテナ化、バルク貨油のパイプ輸送能力)の増大がはかられている。これらとともに、航海通信関連装置に対する種々の考慮、新装置の搭載、艦上観測関連装備の充実、観測隊員、乗組員の居住区画の質的向上と充実が行なわれている。護衛艦等に比べて船幅が広いため、艦橋などもかなり幅の広いものとなっている。また自衛官以外の観測隊員も乗艦・生活するため、観測隊員居住区画は自衛艦らしからぬ内装となり、居室も木製家具を用いた落ち着いた印象である。
1983年度から南極観測輸送協力任務に就き、補給艦「ましゅう」の就役までは海上自衛隊最大の艦艇であった。毎年、8月から10月に国内各地を巡航、総合訓練を行ない、10月中旬東京港晴海埠頭を出港し、オーストラリアのフリーマントル経由で南極大陸に向かっていた。「しらせ」は極地の過酷な環境下を航行する艦らしく、2001年12月12日23時57分(地方時)、暴風圏を抜け昭和基地へ向かって航行中、左に53度、右に41度傾くという海上自衛隊艦艇の最大動揺記録を持っている。
2008年7月30日に除籍され、引き取り手の目処が立たなかった事から解体が予定されていたが、2010年2月に民間の気象会社「ウェザーニューズ」が同艦を購入。今後一般公開を含め気象に関する発信センターとして活用される事となった。
後継となる新型砕氷艦(AGB-5003)は2009年5月に就役し、艦名は「しらせ」を引き継ぐ事となった。

艦記号・番号/艦名

起工

進水

竣工

製造所

AGB-5002 しらせ
(2008.7.30除籍)

1981.3.5

1981.12.11

1982.11.12

日鋼鶴見


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左前
(041002.今治)
左後ろ
(041002.今治)
左側面
(050930.高松)
右前
(050930.高松)
左前上
(050930.高松)
右前
(041002.今治)
上部操舵所・マスト
(050930.高松)
錨甲板・デッキクレーン
(041002.今治)
後部12tクレーン
(050930.高松)
主錨
(050930.高松)
遠距離通信アンテナ
(050930.高松)
気象観測用レーダー
(050930.高松)
煙突
(041002.今治)
11m救命艇
(041002.今治)
内火艇
(041002.今治)
艦橋
(041002.今治)
艦橋
(050930.高松)
操舵コンソール
(050930.高松)
艦長席
(041002.今治)
副長席
(050930.高松)
ヘリ格納庫
(041002.今治)
観測隊員居住区通路
(041002.今治)
観測隊員居住区通路
(050930.高松)
理髪店「タイガーカットハウスしらせ本店」
(041002.今治)
歯科治療室
(041002.今治)
医務室
(050930.高松)
観測隊員公室
(050930.高松)
観測隊員居室
(041002.今治)
バギー・しらせ2号
(050930.高松)
スノーモービル・しらせ3
(050930.高松)