96式 多目的誘導弾システム


〈富士教導団本部(富士駐屯地)#04-5605  040718.富士〉

諸元・性能(誘導弾)
全長 約2,000mm
胴体直径 約160mm
重量 約60kg
誘導方式 光ファイバTVM赤外線画像誘導方式
構成 情報処理装置、射撃指揮装置、地上誘導装置、発射機
製作 川崎重工
備考 96式多目的誘導弾システムは79式対舟艇対戦車誘導弾(重MAT)の後継として(後継ではないとする資料も有り)1986年から川崎重工で開発が開始され、1996年度から取得に着手した誘導弾である。79式重MATと同じく、地上戦闘において敵戦車等を撃破するとともに、対上陸戦闘において達着前の敵上陸用舟艇を撃破することなどを目的としており、多目的誘導弾システム(MPMS:Multipurpose Missile System)という名称を持つ。
遠距離および広域の対舟艇対装甲戦闘を行なうには79式重MATでは射程が不足し、かつ見通し外射撃ができない事、また諸外国の上陸用舟艇の大型化やエアクッション艇の増加による高速化、装甲車等の装甲技術の進展、暗視技術の進展による夜間攻撃の常態化といった近年の趨勢に対応するには79式重MATでは陳腐化してきた事などから、本誘導弾システムの開発と整備が進められた。
システムは情報処理装置、射撃指揮装置、地上誘導装置、発射機から構成され、高機動車の後部荷台に6連装のミサイル・ランチャーを搭載している。本システムは光ファイバーTVM赤外線画像誘導方式を採用している。これは誘導弾が赤外線シーカーで地上(海上)を捜索、その画像信号を光ファイバーにより地上に伝送し、射手は画像を見て目標の認知〜追尾指示を行ない、誘導弾が画像追尾により目標に命中するものである。これにより、過去の対戦車誘導弾と異なり見通し線外射撃能力を持つことになり、射撃地点から目視できない目標に対しての攻撃が可能となっているほか、射手の生存性を高める事にも寄与している。光ファイバー有線誘導式ミサイルは欧米でも開発が進められているが、2010年現在で実用化に漕ぎ着けたのは日本だけである。
2010年現在では第4師団、第5旅団、および北部方面隊の対舟艇対戦車部隊が装備するほか、富士教導団や武器学校に少数が配備されている。
公募によってつけられた愛称は「96マルチ」。富士総合火力演習でも毎回実弾射撃が公開されている。


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左前
(040718.富士)
右前
(040718.富士)
後ろ
(040718.富士)
右前・ランチャ展開
(040718.富士)
左前
〈050717.富士〉
左側面
〈090830.総火演〉
アウトリガー
〈050717.富士〉
地上誘導装置
〈090830.総火演〉
実弾射撃
(040828.総火演)
実弾射撃
(050827.総火演)