平成21年度 富士総合火力演習



総火演に行ってきました!

8月30日(日)、静岡県は御殿場市に所在する陸上自衛隊東富士演習場畑岡地区において、平成21年度富士総合火力演習(以下総火演)が挙行されましたので、遠征してまいりました。私にとっては2005年以来、実に4年ぶりとなる総火演。今年も運良く入場券交換ハガキ(一般電車券)が当選しました。昨年も当選していたにも関わらず、当日の大雨のために泣く泣く遠征を断念した悔しい思い出があるだけに、今年は雪辱戦のつもりで遠征計画を立てましたよ。
さて、本番の演習に触れる前に、来年以降の参考のためにも入場前の事について少し書いておきましょう。総火演の入場は早朝から始まるため、岡山から遠征する私としては当然前日のうちに御殿場市まで到着しておかなくてはなりません。本番前日の29日は仕事でしたので、退勤後に新幹線に飛び乗ってJRで移動し御殿場駅に最終便で到着、そのまま4〜5時間を駅前野宿で過ごし、朝4時頃にタクシーで会場へ向かう、という計画を当初から立てていました。前回2005年に訪れた時には、これでスタンド席の上段を確保できたからです。そして29日当日、予定通り退勤後に19:23岡山発の新幹線に乗車。新大阪で乗り換え、22:09静岡駅に到着。ここから22:13発の東海道本線に乗れば、沼津から御殿場線の最終便に乗り換えて23:39に御殿場駅に到着するはずでした。が、静岡駅で新幹線を降り、東海道本線のホームへ向かうと……。そこには溢れかえらんばかりの人・ひと・ヒト。私の乗る予定の電車もまるで東京の通勤ラッシュのごとく人が詰め込まれ、入り込む隙間は全くありませんでした。なんじゃこりゃ〜!( ̄□ ̄;; 列車の中からは女性客がかん高い声で「もう乗れません!」と叫んでいるのが聞こえます。でもまずい、これに乗らないと御殿場線の最終に間に合わない! どこかに乗れるところがないかと列車の端から端まで見てみましたが、車内は手ぶらの人でさえ一人も乗り込めないほどギッチギチに詰まっており、カメラバッグを持った私が入り込むのは物理的に不可能である事は明白です。ひとり焦っているうちにドアが閉まり、電車は無情にも走り去ってしまいました。………はい、この時点で御殿場に予定通り到着できないのは決定です。
あぁ、こんなピンチは久々だなぁ、と遠い目をしながら改めてごった返すホームを眺めると、なぜか浴衣を来た男女が異様に多い。どうやら近くでお祭りか花火大会があったようです(後日調べたところ、安倍川花火大会でした) 。こんな日に花火大会なんかやってんじゃねぇ!などと理不尽に憤慨しつつ、これからどうするか思案。とりあえず沼津まではもう1本後の電車でも行けるので、そこからどうするか考えよう、という事で22:42発の電車に乗り込みました。電車に揺られながらいろいろ考えましたが、沼津駅で夜を明かして御殿場線の始発を待つと、どうしても会場入りが遅くなるのでそれは避けたい。となると大変痛い出費ではあるが沼津駅から御殿場駅までタクシーを使うしかなさそうです。そんなことで23:34に沼津駅に到着し、すぐにタクシーで御殿場駅へ向かいました。タクシーの運ちゃんと富士山の話をしたり、道中「ここが駒門駐屯地ですよ」と教えてもらったりしながら、00:15頃ようやくJR御殿場駅前に到着。どうせタクシーを使うなら、そのまま東富士演習場まで行ってもらえば良かったのかもしれませんが、さすがにこの時間だと早すぎるだろうと思い、ここで下車。ちなみにタクシー代は8.000円ちょっとでした。痛いなぁ……。( ̄▽ ̄;; 


今年も運良く当てる事ができた総火演の当選ハガキ。報道によれば今年の応募総数はハガキ・ネット合わせて146,764件で当選倍率は28倍にのぼったそうです。相変わらず激戦ですねぇ。
さて深夜の御殿場駅前ですが、総火演に行くらしいマニアの姿がちらほら、ベンチで寝ている人の姿も見えます。他にはたむろしている若者達と酔客、ロータリーを出入りする車で結構賑やかな感じです。コンビニで食料等を買ったあと、私も少し休んでおこうとベンチの上に横になってみました。が、やはりなかなか寝つけるものではありません。仕方なく携帯で某巨大掲示板の「総火演スレ」を眺めていたところ、演習場にはすでに70〜100人が集まっているとの書き込みが! 時計を見ると02:40頃。いくらなんでも動きが早すぎないか?ここ数年、総火演に参加した人の話やレポートを見るにつけ、年を追うごとに人々の動きが早くなっていってるような印象はありましたが、まさかここまでとは驚きです。そういえば、先ほどまで駅前に居たマニアらしいグループの姿も見えなくなっている……。このままだと大きく遅れをとり、スタンド席を確保するのは難しくなるかも……ということで、予定を変更して私も会場に向かう事にしました。駅前のタクシー乗場に居た若者に声を掛け、料金ワリカンで一路東富士演習場畑岡地区へ。
03:10頃に会場に到着してみると明かりもなく真っ暗闇な状態でしたが、目が慣れてくるとスタンド席の下に大勢の徹夜組がうずくまって開場待ちをしているのが確認できました。携帯をいじっている人、シートに寝転がって仮眠をとっている人、小声で談笑している人など様々で、失礼ながらまるで難民の様相を呈しています。私もその難民の仲間に加わるべく、一緒にタクシーに乗ってきた若者とEスタンドの入口近くへ進み朝を待つ事にしました。空を見上げると空気が澄んでいるためか、近年見た事もないような満天の星空が広がっています。冬の星座だと思っていたオリオン座も東の空に輝いていました。それにしても、標高が高いせいか非常に寒い!用心して上着を持ってきて正解でしたが、そのまま一睡もできず朝を迎える事となりました。
さて、過去の総火演では前夜から観覧席最前列にシートを敷いて場所取りをするマニアも居たようですが、その傾向が年々酷くなってきていたのか、今年は06:00まで入場が禁止され、それを突破して中に入っていた者は一旦退去、さらに場所取りのため置かれていたシートやクーラーボックスも開場前の点検で陸自側が撤去し忘れ物として預かる、という措置をとっていました。一部の身勝手な者に対する陸自側の素晴らしい対応だったと思います。
05:00前には各入口の前で開場待ちの行列ができ、私の後ろもいつの間にか長い列になって少々殺伐とした雰囲気になってきました。やはり早めに来ておいて正解だったようですが、年々人々の動きが早くなっていくのはちょっと考えものですね……。そして06:00、ついに開場。みんな我れ先にと場内になだれ込んでいきましたが、シート席は前列から、スタンド席も1ブロック目の上から順に詰めるように誘導され、自分の好きなところに席を確保する、というのはちょっと難しかったようです。私は運良くEスタンド席のいちばん左端のブロック、上から6段目くらいの席に座る事ができました。狙っていた最上段ではありませんが、この席ならまずまず満足というところでしょう。


深夜00:50頃のJR御殿場駅前。なにやら以前に比べて飲み屋さんが増えた気がしますが、そのせいか結構賑やかでした。

03:00過ぎに到着した東富士演習場畑岡地区の上空には、澄みきった夜空が広がっていました。標高が高く空気も澄んでいて、街灯もほとんど無いため、満天の星空を見る事ができました。写真は東方向の空で、右下の方にオリオン座が写っています。ホントはこんなもんじゃないほど綺麗な空だったのですが、私のカメラではこの辺が限界でした。(^^;


05:00頃のD・Eスタンド間の受付前の様子。開門を待ちわびる観客が詰めかけ、少々殺伐とした雰囲気になっています。


私の後方にも長い行列ができていました。人がひしめき合っている状態なので、売店の人が準備をするのに大変そうでした。


06:00、ついに開門。入場チケットを持っている人はそのまま中へ、ハガキの人はここでチケットに交換してから入場となります。


これがハガキと交換した入場チケットの半券。一般当選券はEスタンドおよび前面のシート席のみで、A〜Dスタンドは招待客の席となります。この半券は売店やトイレなどに行って再入場する際に必要になります。


06:10頃の会場の様子。シート席は前列から詰めて座るように誘導され、1列目が埋まったら2列目が開放されます。


前方の会場前広場では点検射を控えた戦車教導隊/第2中隊の90式戦車が射撃準備を始めました。


点検射を前に、席はできるだけ詰めて座る事、スタンド席通路は非常時の避難経路となるため、通路で見学したり荷物で塞がない事、場内が込み合うため、係員の指示に従う事、幟・日傘の使用や席の上に立つ等の行為、折畳み椅子の利用は他の客の迷惑となるので遠慮する事、三脚の使用は他の客の迷惑にならないよう注意する事、会場と外の出入りには入場券の半券が必要な事、見学席は禁酒、および喫煙所以外での喫煙は禁止である事など、会場での諸注意がアナウンスされました。
そして06:30から火砲や車輌による、本番前の点検射が開始されました。目の前で戦車・自走砲や火砲が入れ替わり立ち替わり進入しては実弾を目標に撃ちこんでいきます。久々に見る90式戦車の実弾射撃、120mm滑腔砲の衝撃は相変わらず肌に当たって痛いほどでした。


会場左手には戦車教導隊/第3中隊の74式戦車。車上に揚がっている緑の旗が赤に変われば、射撃開始です。


この時間は富士山も実に美しく見えていました。


『点検射開始』 06:30、ついに点検射が始まりました。74式戦車、90式戦車が1両ずつ射撃を実施します。初弾が放たれた時、観客席からは「おぉー!」というどよめきが起きました。


87式自走高射機関砲の点検射。この車輌の実弾射撃は静浜まで行かないと見られないと思っていたので、これは大収穫でした。


5の台を目標に射撃する74式戦車。右上の方にオレンジ色に光る砲弾がちょこっと写っているのがわかるでしょうか…。


戦車教導隊/第3中隊の74式戦車も次々と射撃を実施しています。本番と違って「撃て!」の号令が聞こえないので、発砲の瞬間を捉えるのは非常に難しいですね…。


戦車教導隊/第2中隊の90式戦車。後退して方向転換中です。


戦車教導隊/第2中隊の1個小隊が進入し、走行間射撃。


射撃位置から高速で後進して離脱。こういった動きも息がピッタリです。急ブレーキをかけて車体の前部分がフワッと浮き上がるところまで動きが揃っていて、まるでダンスを見ているかのようです。


今回ははるばる北の大地から、第71戦車連隊/第3中隊の搭乗員が演習に参加していました。車輌は戦車教導隊からの借り物ですが、砲塔に第71戦車連隊の部隊マークがペイントされています。


点検射で唯一撮れた発砲炎です。90式の射撃は何度見ても迫力があります。


戦車部隊の点検射が終了し、入れ代わりで野戦特科部隊が進入してきました。進入する特科教導隊/第4中隊の203mm自走榴弾砲。


進入する特科教導隊/第3中隊の99式自走155mm榴弾砲。


99式自走155mm榴弾砲の斉射。1両が砲塔を90度旋回させて射撃する様子も、総火演ではお馴染みになりました。


三段山に着弾する様子。この光景から数秒後に、地鳴りのような音が響いてきます。

←戻る 次へ→