陸上自衛隊 吉井川防災渡河訓練展示



吉井川防災渡河訓練展示に行ってきました!

11月30日(日)、岡山市瀬戸町弓削にある吉井川緑地公園において、陸上自衛隊の施設部隊による防災渡河訓練が公開されましたので見学に行ってまいりました。10ヶ月ほど前の1月にも同様の訓練公開があり、当HPでもレポートを掲載しました。なぜ同じ年に2回も同様の訓練展示があるのか?と不思議な感じがしましたが、どうも前回は平成19年度、今回は平成20年度の公開という事らしいです。10月下旬に三軒屋駐屯地記念行事を訪れた際に第305施設隊の方から今回の渡河訓練の事をお聞きし、私も2008年最後の自衛隊イベントとして出かける事にした次第です。
さて、当日11月30日の朝、08:45頃に自宅を出発。国道2号線を東へ向けドライブし、09:30頃に訓練展示会場となる岡山市瀬戸町弓削地区の吉井川緑地公園に到着しました。前回、1月の時にはこの会場から1kmほど川下に宿営地が設けられ、1週間に渡って訓練が行なわれていたようですが、今回はそのような物もなく、参加部隊の車輌も全てこの会場に集結していました。訓練展示会場へ行くと、すでに器材も運び込まれ展示開始を待つばかりとなっています。事前に大々的な宣伝がなかったにも関わらず、見学者も結構集まっていました。今年のイベント遠征ではさんざん天候に泣かされてきましたが、今日は素晴らしい秋晴れです。山々も美しく色付き、気温が低い以外は絶好のイベント日和となりました。
10:00、まずは第305施設隊長の武藤 和安二等陸佐から以下のような挨拶がありました。
「皆さんこんにちは。本日はお忙しい中お越しいただきましてありがとうございます。訓練を統括いたします、第305施設隊長、武藤です。訓練の開始にあたりまして、概要を説明させていただきます。本日の訓練の目的でありますが、岡山県、広島県、島根県に所在します三つの施設科部隊が合同して訓練をすることによりまして、その連携要領を確認する事、またこういった訓練を一般の方々に公開する事によりまして、特に地域住民の方々に陸上自衛隊の災害対処能力の一部をご覧いただきたいというものであります。また今回、全国でも初めてかと思いますが、即応予備自衛官が訓練に参加しております。晴れの国岡山といえども、過去風水害の被害を受けております。岡山県の災害派遣につきましては、日本原駐屯地に所在いたします第13特科隊が主力部隊でありまして、我々三軒屋駐屯地に所在します部隊につきましては、その指揮下で行動いたします。今回こちらの訓練で使用します装備のほとんどは、風水害の際力を発揮する器材でありますので、ぜひこの機会を捉えてご覧いただきたいという風に思います。我々も災害派遣の際、いち早く駆け付けられるよう日々訓練に励んでおります。本日は我々が日頃どういった訓練を実施しているのか、また災害の際、自衛隊がどのような事ができるのかという事をぜひご覧いただきたいというふうに思います。最後までよろしくお願いいたします。」
その後いよいよ訓練展示開始。展示部隊は前回に引き続き三軒屋駐屯地の第305施設隊、出雲駐屯地の第304施設隊、そして今回新たに海田市駐屯地から第13施設中隊が加わり、約130人の隊員が参加しました。
訓練展示は前回と同じく、下記の想定で行なわれました。
中国地方を横断した台風の影響により吉井川が氾濫、橋が流出し、孤立した被災者が救助を求めているとの報告を受けた岡山県知事は、陸上自衛隊に災害派遣を要請。出動命令を受けた第305施設隊、第304施設隊および第13施設中隊が現地に到着。川のむこう岸が被災したと仮定して、第305施設隊が軽門橋を2基、軽徒橋を1基、第304施設隊と第13施設中隊が81式自走架柱橋を架橋。災害派遣車輌を対岸へ渡河させるとともに、即応予備自衛官部隊による行方不明者の捜索および救出活動が実施されました。
このレポートでは構成の都合上、各橋ごとにその架設や車輌渡河の様子を紹介しますが、実際には4種の橋がほぼ同時進行で架設作業を実施していますのでご了承ください。

会場に設営された業務用天幕2張。手前は「第三〇五施設隊指揮所」、奥は「第十三施設中隊渡河器材小隊」という表札が掛かっていました。


展示前に本訓練を統括する第305施設隊長、武藤二等陸佐が挨拶をされました。


来賓席も設けられていました。私は気付かなかったのですが、民主党の姫井由美子参議院議員も来られてたようです。


いよいよ状況開始です。
『第13施設中隊、第304施設隊、自走架柱橋を架設し、災害派遣車輌を通過させよ』「こちら第13施設中隊、第304施設隊、了解」まず最初に、会場左手で81式自走架柱橋の架設が開始されました。


長さ10mのアルミ製導板を繰り出す第13施設中隊の自走架柱橋。橋節は時間の関係上、あらかじめ2スパンが架設されており、展示では残り2スパンが架設されました。


支柱を立て、橋節を連結して橋を構築していきます。


続いて、第304施設隊の81式自走架柱橋が4スパン目の橋を架設。


対岸側でローディングランプなどを取り付けて、車輌が通行できる準備を整えます。


第304施設隊による架設作業も終了。橋が完成しました。


作業を終え、撤収する隊員たち。
「本部、こちら第13施設中隊、第304施設隊。自走架柱橋の架設完了」『本部了解。災害派遣車輌を通過させよ』「了解」


災害派遣車輌を自走架柱橋の上に誘導。


災害派遣車輌の1/2tトラックが橋を渡ります。この自走架柱橋は74式戦車までの重量に耐えるようになっているので、災害派遣の際にはあらゆる災害派遣車輌を通過させる事ができます。


災害派遣車輛が対岸からこちらへ戻ってきました。


『渡河器材小隊、こちら本部。徒橋を架設し、被災者を救助せよ』「こちら渡河器材小隊長、了解」第305施設隊/渡河器材小隊が駆け足で入場してきました。


小隊陸曹(?)からの作業指示を受ける渡河器材小隊。


ゴムボートで対岸へ渡る2名の隊員。ワイヤーの張り具合を見ているのでしょうか?


軽徒橋の架設が開始されました。まずは平行に並べたアルミ製の浮体の上に、木製の導板を降ろします。


浮体と導板を固定して、ロープを通すポールを4本立てれば橋節がひとつ完成。この作業を繰り返して、橋節を何個も作っていきます。


左の隊員が手にしているのがポールです。


「上げる用意、上ーげ!前へ!」「イチ、ニ! イチ、ニ!」完成した橋節を4人がかりで河へ運んでいきます。


橋節を繋ぎながら、前へ前へ押し出していきます。この作業を繰り返して、数十mの橋が構築されます。


軽徒橋が流されないように、ワイヤーと橋節をロープで繋ぎます。


渡河器材小隊による架設作業が完了しました。
「本部、こちら渡河器材小隊長。軽徒橋の架設完了」『本部了解』


『第302施設小隊、こちら本部。対岸および下流地域の被災者の捜索を実施せよ』「302施設小隊長、了解」即応予備自衛官で編成される第302施設小隊が、被災者捜索に向かいました。


第302施設小隊の1分隊が軽徒橋で対岸へ渡り、捜索を実施します。即応予備自衛官は普段はそれぞれの職業に従事しながら、訓練召集命令により出頭し、年間30日間の訓練を実施しています。


別の分隊は渡河ボートに乗り込み、下流域で被災者の捜索を実施。手漕ぎ用のオールを持っているのが確認できます。


「本部こちら施設小隊長、被災者発見、これから救助する」『本部了解』第302施設小隊が被災者4名を発見し、救命胴衣が運び込まれました。

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