■「いせ」兵装

飛行甲板の艦首右舷側に装備された高性能20mm機関砲CIWS。最新型のBlock1Bで、光学照準装置を備えています。単装速射砲を装備しない「ひゅうが」型においては、唯一の砲填兵器と言えます。

CIWSはもう1基、左舷艦尾に設けられたスポンソンにも装備されています。Block1Bは俯角を大きくとれるため、対空目標だけでなく小型船舶などの水上目標にも対応が可能となっています。

飛行甲板から左舷艦尾のCIWSの眺め。意外に部品がゴテゴテと付いていますね・・・。

艦尾の右舷側に設けられた12.7mm重機関銃M2の機銃架。「ひゅうが」型には計7箇所に設置されています。12.7mm重機関銃は個艦の装備ではなく搭載品扱いになり、基本的に艦載武器の一覧には記載されないそうです。

従来の護衛艦では標準装備の三連装魚雷発射管は「ひゅうが」型では外から確認することはできませんが、実は艦尾の作業艇搭載スペースの斜め下にある四角い蓋の奥に最新型のHOS-303が装備されており、魚雷を発射するときはこの蓋が開いて、発射管を斜めに突き出して使用します。写真は右舷側ですが、もちろん左舷側にも装備しています。HOS-303は新型の国産魚雷である97式短魚雷の運用が可能だそうです。

飛行甲板の右舷艦尾に装備されている、Mk41 VLS。16セルの垂直発射装置で、VL-ASROCやシースパロー、またシースパローの後継とされるESSM RIM-162艦対空ミサイルの発射が可能となっています。RIM-162は翼が折り畳めるため、VLS1セルに4発の装填が可能です。

左舷側のチャフ・ロケットランチャー。艦首寄りの左右両舷に設けられたスポンソンに、6本1組のランチャーが3基ずつ、計6基装備されています。

艦尾左舷の下の方に装備されているSLQ-25A Nixie デコイ発射用のランチャー。デコイとは敵のホーミング魚雷に対する欺瞞用の囮のことです。
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■「いせ」通信/電測装備

「いせ」の航海艦橋上に設けられたマスト。上の方から見ていきましょう。

マストの一番頂部にある円盤状のものはヘリに対する短距離航法援助装置であるORN-6E TACANのアンテナ。その下の四角い板状のものはUHFアンテナと思われます。

支柱を囲むバウムクーヘンのようなパーツは部隊のデータリンクに使用されるLINK16のアンテナ。衛星を中継することができ、広域での部隊のネットワーク化を可能にしています。

丸い突起物のついた平べったい円盤状のものは敵味方識別装置OPX-11 IFFのアンテナ、その上の俵状のものはNOLQ-3C電子戦装置(ESM)の無指向性アンテナ(OMNIアンテナ)。その左右には風向風速発信器が設置されています。右下の白いレドームはORQ-1Cヘリコプターデータリンク装置のアンテナです。

IFFアンテナの一段下の張り出しにはNOLQ-3電子戦装置(ESM)の指向性アンテナ(DFアンテナ)が左右一対で装備されています。

マストのほぼ中央にはOPS-20C対水上レーダーが装備されています。Iバンドを使用する航海用レーダーです。

OPS-20Cの1段下のマスト左舷側張り出しには、小型のOPS-20C対水上レーダー(副)が装備されています。

さらにその下、航海艦橋の天蓋上の左右にはNOLQ-3C電子戦装置(ECM)が装備されています。「むらさめ」型から装備されたNOLQ-3の発展型のようですね。

「ひゅうが」型のもっとも特徴的な装備とも言える、FCS-3(射撃指揮装置3型)。ESSMや短SAMなど対空誘導弾管制用で、対空/対水上捜索レーダーとしての機能も有しており、前部艦橋の前面と左舷側、後部艦橋の後面と右舷側の計4箇所に設置されています。大きい方がCバンド、小さい方がXバンド用です。

後部艦橋の天蓋上、右舷側には光学照準装置が見えます。「ひゅうが」型から装備されたものですが、形状からすると「あたご」型に装備されているMk46 OSSと似たようなものでしょうか。

後部艦橋の前には着艦誘導灯が装備されています。その左右に見えるのは、向かって右が NORA-7スーパーバードD衛星通信アンテナ、左側がUSC-42衛星通信アンテナのレドームです。
次に通信系の装備を見ていきましょう。
艦首CIWSのすぐ後ろには、甲板から生えるようにN-AS-299空中線が設置されています。短波受信用のアンテナらしいのですが、詳細は不明。他にも、前部艦橋の前、後部艦橋の後ろにも装備されています。

マストの右舷側に設置されているNORA-1Cスーパーバード衛星通信アンテナのレドーム。従来の護衛艦にも装備されているもので、スーパーバードB号機を使用するXバンド/Kuバンド用のアンテナです。第1煙突の後ろにも同じ物が設置されており、この2基のうちどちらかが常に衛星の方へ向いています。

前部艦橋前に装備されているNORA-7スーパーバードD衛星通信アンテナのレドーム。スーパーバードD号機を使用する、Xバンド用のアンテナです。NORA-1Cと似た形状のレドームですが、 NORA-7の方がかなり大きいです。後部艦橋下にも同じ物が設置されています。

右舷側の艦尾近くに装備されているNORQ-1スーパーバード衛星通信アンテナのレドーム。Kuバンド用で、第2煙突の左舷側にも同じ物があります。

艦首右舷側のスポンソンに装備されたUSC-42衛星通信アンテナのレドーム。米海軍の通信衛星フリートサットを介して米海軍との通信に使用されます。後部艦橋下にも同じ物があります。

右舷艦尾寄りのスポンソンに2基並んで装備されているNORC-4Bインマルサット衛星通信アンテナのレドーム。国際海事衛星インマルサットを介して通信を行います。

上のUSC-42の傍に設置されている NTT docomoのアンテナ。

艦橋前の右舷側に装備されているM-AT-101無指向性空中線。資料によればTVアンテナということでしたが、詳細は不明。

第2煙突の全面に設置された張り出し上に装備されているOQR-1Cヘリコプター用データリンク装置のアンテナ。


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