多用途支援艦「すおう」一般公開 in サンポート高松


「すおう」一般公開に行ってきました!


梅雨も明けた8月1日(火)、高松市の玄関口である高松港「サンポート高松」に、海上自衛隊の多用途支援艦「すおう」が寄港、一般公開が催されるとの事で行ってまいりました。横須賀地方隊に所属する「すおう」は多用途支援艦「ひうち」型の2番艦で、平成16年3月に就役したばかりの新しい艦艇です。主な任務は訓練支援、救難、潜水支援、航路警備など多岐にわたっています。今回の寄港はおそらく乗員の休養のためと思われますが、自主公開を行なう、との旨知人からメールで連絡があり、ちょうど休みだったこともあって訪れる事にしたのです。その後、香川地方協力本部(※7月31日に全国の「地方連絡部」は「地方協力本部」という名称に変わりました)のホームページでも日程が発表され、09:00〜11:30、および13:00〜16:00の2回に分けて公開が行なわれるとのことでした。
10:00頃、「すおう」の停泊するサンポート2万トン級バースへ到着。さすがに平日とあってか、人影もまばらでした。舷梯の傍では「すおう」グッズの販売を行なっておりましたので、私も早速識別帽をゲット。他にTシャツなんかもあったのですが、ちょっと懐が寂しかったのであきらめました・・・。
その後舷梯を昇り、右舷側の舷門から「すおう」に乗艦。見学順序に従って、錨甲板、艦長室(立入りは禁止、外から見るだけです)、艦橋、後部作業甲板の自走式水上標的「バラクーダ」、食堂、機関の制御室などを見学しました。艦橋では操舵装置等が、建造コストを抑えるために民生品を流用している事がボードで説明されていました。もうひとつ、艦橋でこの日一番のネタを拾ったのですが、それは下の「おまけ写真」をご覧ください。自走式水上標的「バラクーダ」のところでは乗員さんが丁寧に説明をしてくださいました。カナダ製のこの自走標的は護衛艦の射撃訓練等に使用されるものですが、本来はカナダの穏やかな湖での訓練を想定して作られたものだそうで、自衛隊が射撃訓練を行なう日本の海域では波が高くてなかなか扱い辛いのだとか、護衛艦の射撃訓練も実際に当てるとまずいので、バラクーダから50mほど離れたところを狙うのだとか、あと整備の苦労話だとか、色々と教えてもらえました。


サンポート高松2万トン級バースに停泊中の多用途支援艦「すおう」。


「すおう」を右後ろから。青い舷梯の傍にあるテントでグッズ販売をしてます。


錨甲板に設置されている揚錨機。片側で重さ1.1トンの錨+5.9トンの鎖を巻き上げるのに使用。鎖は全長350mに及び、高速モードで巻き上げても30分はかかるとか。


「すおう」艦橋。狭いです。この区画の後ろ側に、自走式水上標的「バラクーダ」の制御室があります。


操舵装置。建造コストを抑えるため、自衛隊規格のものではなく、商船等と同じ民生品を使用しています。


右舷側に搭載されている6.3m複合作業艇。標的の揚収など、主に海面での作業に使用されます。


右舷側にある自走水中標的投下装置。潜水艦の運動を模擬する、護衛艦訓練用の自走水中標的をこの装置で水中に投下します。


艦後部中央に設置されているデッキクレーン。中折れ・8段の伸縮式で、最大荷重は5トン。標的の投下・揚収、物件の積み降ろしなど多用されます。


左舷側に搭載されている7.9m内火艇。護衛艦に装備されているものと同じで、海面での各種作業、港外に艦がいる時の陸上との連絡用など、多目的に使用されます。


自走式水上標的「バラクーダ」。護衛艦などの射撃の標的で、遠隔操縦装置で無人航行できます。遠隔操縦の管制範囲は約18kmです。


バラクーダを後方から。弾着観測カメラを搭載していて、弾着点の距離等を割り出す光学解析が可能です。


バラクーダ後部のマスト中央に取り付けられた反射板。護衛艦の射撃管制レーダーの電波がここに当たるのだそうです。


「すおう」後部作業甲板。災害派遣時にはここに物資やトラックが積載されます。


「すおう」の食堂。ちょっと狭いです・・。向こう側が調理室になってます。


サンポートのお約束、シンボルタワー30階展望室からの眺め。
時間にして40分ほどの見学でしたが、初めて乗艦した多用途支援艦は、いろいろ興味をもって見る事ができました。転職のため今月中に高松市を離れる私にとって、最後にいい思い出ができました。「すおう」乗員のみなさん、また香川地方協力本部のみなさん、まことにありがとうございました。
〈了〉

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おまけ写真

さて、艦橋で拾った今回最大のネタ!艦橋左舷にある「司令官席」です(右舷側は艦長席)。この艦には当初、司令官席はなかったそうです。司令が座乗する機会があまりなかったからだと思われますが、やはりそれではいかん、ということで取り付けられたこの座席、実は乗用車のシートなんだそうです。(^^; よく見るとシートベルトのバックルも付いてます。司令座乗の際は立派な黄色のカバーがかけられるのでしょうが、そうでないときはこのようにお手製の白いカバーをかけているそうです・・。うう、なんだか涙ぐましい努力ですねェ・・・。