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〈富士教導団/戦車教導隊/第2中隊(富士駐屯地) 040718.富士〉 |
愛称 | キュウマル |
略称 | 90TK |
乗員 | 3人 |
全長 | 約9.80m |
全幅 | 約3.40m(スカート付) |
全高 | 約2.30m(標準姿勢) |
全備重量 | 約50t |
登坂能力 | tanΘ約60% |
旋回性能 | 超信地 |
最高速度 | 約70km/h |
エンジン | 水冷2サイクル10気筒ディーゼル機関 1,500PS/2,400rpm |
武装 | 120mm滑腔砲×1、12.7mm重機関銃×1、74式車載7.62mm機関銃×1 |
製作 | 三菱重工(砲塔、車体)、日本製鋼所(120mm砲) |
備考 | 陸上自衛隊の第3世代戦車で、1977年から開発着手、1990年に制式採用された主力戦車。 独自のハイテク技術を結集、デジタルコンピュータによる射撃統制装置、夜間も昼間同様の射撃が可能な赤外線暗視装置、目標を自動追尾、走行中も射撃可能な砲安定装置などの新機軸を搭載。中でも最大の特徴は車体前面と砲塔の複合装甲、砲弾の自動装填装置の採用である。砲弾の給弾を担当する装填手が不要になったことから乗員は車長、砲手、操縦手の3名となったが、逆に人数が減ったために整備に手間がかかるという話も聞く。 戦車砲はラインメタルの44口径120mm滑腔砲を採用。副武装として砲塔前面に74式車載7.62mm機関銃、砲塔上に12.7mm重機関銃M2を搭載する。90式戦車は砲安定装置を搭載し行進間射撃能力にも優れており、米国への派遣訓練の際には走行しながら距離3000mの目標に対して初弾を命中させるなど、非常に高い能力を見せている。また、この戦車の売りのひとつである120mm砲の自動装填装置は砲塔後部のバスル内に搭載されており、手動よりも安全かつ速やかな砲弾の装填を実現している。むろん、自動装填装置が故障した際には手動での装填も可能である。74式戦車と同じく油圧懸架装置を搭載しているが、整備が複雑だった74式戦車の教訓を踏まえて、姿勢変換は前後の傾斜と車高の上下に限られ左右の傾斜機能は省かれた。 性能的には世界でも第一級の戦車と言えるが、惜しむらくは自衛隊にしか需要がないためコストがバカ高く、調達が遅々として進まない点だろうか。他の装備についても言える事だが、これはもう日本の病的なお家事情というしかない。他国の第3世代戦車の倍とも言われるこの高価格が、制式化から20年以上経った現在でも北海道の部隊(第7師団/第71.72.73戦車連隊、第2師団/第2戦車連隊中3個中隊、第5旅団/第5戦車隊、第1戦車群)と富士教導団、武器学校、第1機甲教育隊にしか配備ができていないという弊害を生んでいる。また、74式戦車の後継として開発中だったTK-Xが2010年に10式戦車として制式化された今、本州以南の師団・旅団戦車部隊での90式の配備は今後も無いと考える方が現実的と言えるだろう。 ここに掲載している写真のうち陸上自衛隊広報センターの展示車輌は試作車で、実車とは細部が異なる。ちなみにこの試作車は広報センターに展示される前、日本原駐屯地において野ざらし状態で用途廃止展示されていた(下記サムネイル参照)。当時の写真を見ると、広報センターへ移管する際に部品や塗装など相当化粧直しされているのが伺える。この車輌は第一次試作車輌であると思われるが、日本原当時にペイントされていた「95-4683」という車輌番号は正確なものではない。 〈お寄せいただいた情報 I〉 90式戦車は、平成14年度から第2師団への配備が始まっており、取得実績金額は、一番高いドーザ付のタイプで官給品(戦車砲、発煙弾発射機)、搭載品(機関銃、暗視双眼鏡)を含めて7億4千万円超である。 〈お寄せいただいた情報 II〉 90式の価格は世界の第三世代戦車のなかではむしろ安い方。 (フランス) ルクレール 9億7000万円 (イギリス) チャレンジャー2 11億3800万円 配備がほぼ北海道専用となってしまっているのは価格よりも50tもの重量による道路への影響が大きいようだ。 |