75式 自走155mm榴弾砲


〈用途廃止装備 071111.姫路〉

諸元・性能
全長 7.79m
全幅 2.98m
全高 2.55m
全備重量 25.3t
速度 47km/h
乗員 6人
武装 155mm榴弾砲×1(最大射程19,000m) 12.7mm重機関銃M2×1
最大射程 19,000m
製作 日本製鋼所(砲、砲塔) 三菱重工(車体)
備考 野戦特科部隊が装備する、アルミ合金装甲板の車体と砲塔、国産の砲など独自の設計による日本初の国産155mm自走砲。それまでアメリカから供与されていたM44 155mm自走榴弾砲の後継装備として、1969年に開発に着手し1975年に制式化された。同時期に74式自走105mm榴弾砲が開発され、74式を直接的支援、75式を全般的支援用の火砲として運用する思想であったが、後に自走榴弾砲を155mmクラスに統一する事になり、74式の方は20両程度で生産を打ち切られている。
75式自走155mm榴弾砲は車体前部右側に操縦手席、左側に機関室があり、車体後部の砲塔内では前部右側に砲手、その後方に車長が位置し、その他通信手、装填手2名の計6名が搭乗する。主武装は30口径155mm砲で、砲身には二重作動式のマズルブレーキと排煙器が備えられている。砲の俯仰角は-5〜+65度で、油圧により俯仰する。砲塔は全周旋回が可能で、油圧による動力旋回の場合約30秒で360度旋回を行えるほか、手動による操作も可能となっている。発射速度は最大で毎分約6発、最大射程は75式榴弾(長射程弾)と9号装薬の組み合わせで約19,000mである。最大の特徴は自動装填装置で、全周回転の砲塔内に回転式ドラム弾倉があり、砲弾は油圧装置で装填される。ただし装薬は手動で装填する。砲弾は給弾機に18発、戦闘室床下に10発の計28発を携行可能。装薬も28発分を携行できる。
計201輛が生産され北海道の特科部隊に配備されていたが、後継の99式自走155mm榴弾砲との更新が進み、2016年に全数退役となった。


〈お寄せいただいた情報〉
ここに掲載している写真のうち伊丹駐屯地の車輌は試作車であるが、4両製作された試作車の中の何号車であるか、という点について複数の方から情報をいただいた。

試作1号車であれば浮航スクリーンの装着ボルトが車体全周に付いているし、2号車であれば駆動輪の肉抜き孔が大きいはず。また土浦駐屯地の試作車両と外観上全く同じに見えるというのもポイント。(土浦駐屯地の保管車両は、初期の教育用に使用する関係上、量産車に近い車両を置いている可能性が高いと考えられる。)
●試作2号車が武器学校に、3号車が幹部候補生学校にあるので1号車か4号車のうちどちらかであることには間違いない。

上記の情報から、伊丹駐屯地に展示されている車輌は試作4号車であると推測される。


サムネイルをクリックすると大きい写真が見れます。(新規ウインドウで開きます)

正面
〈081005.米子〉
試作車・正面
〈021013.伊丹〉
試作車・右前
〈021013.伊丹〉
試作車・左前
〈021013.伊丹〉
試作車・後ろ
〈020407.伊丹〉
左後ろ
〈061103.米子〉
左後ろ
〈061103.米子〉
左側面
〈061103.米子〉
試作車・155mm榴弾砲と操縦手ハッチ
〈021013.伊丹〉
前照灯等
〈061103.米子〉