66式 鉄帽


〈091103.姫路〉

諸元・性能
備考 現行の88式鉄帽が採用される以前に、自衛隊で使用されていたヘルメット。戦後供与されていた米軍の「M1型ヘルメット」をベースとして、日本人の頭部形状に合うように改良され、1966年に採用された。部隊内では「テッパチ」と呼称された。
樹脂製の中帽(ライナー)および鉄製の外帽(シェル)の二重構造になっているが、鉄製の外帽はかなり重量があり長時間の着用は首に負担がかかるため、警衛勤務や軽作業時には中帽のみを着用する事が多い。
米軍のM1型ヘルメットは上から見て前後に長い西洋人の頭蓋骨形状にフィットするように作られており、丸い形の東洋人の頭部には合わない。東洋人がM1型を被ると前後に落ち着かず、逆に左右は締め付けられる感じになるという。そこで66式鉄帽では日本人の頭蓋骨形状にフィットするようにM1型を改良したわけであるが、なぜか鍔の部分を長く作ったため、64式小銃で伏せ撃ちを行なうときにこの鍔の部分が小銃の照門を倒してしまうという欠点もあった。また外帽と中帽の合いが緩く、激しい運動をすると外帽がズレるといった事もあったようで、中帽と外帽の後ろ縁をダブルクリップで留めるという工夫もなされていたらしい。
某書によれば重量1.4kgにもなる66式鉄帽を嫌い、隊員の中にはPX業者が製造・販売したプラスチック製のヘルメットを入手し、これに迷彩覆いや擬装網を被せて使用した者が多数いたとされる。この偽物の鉄帽は本物が「テッパチ」と呼ばれたのに対して「ウソッパチ」と呼ばれたようだ。当然の事ながら対弾性は皆無なので、公式には使用禁止であるが、かなり広く浸透していたらしい。
ここに掲載している写真は姫路駐屯地で装備品展示されていたものであるが、中帽のヘッドバンド部分が革性になっており、隊員の話では「汗を吸い込んですぐにヒビ割れる」との事だった。


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中帽内側
(091103.姫路)